月刊 俳句ゑひ 皐月(5月)号

月刊俳句ゑひ
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メンバー作品

携帯電話でも見やすいよう5句ずつに分けていますが、作品としては連続しています。

形から(作:上原温泉)

すつぽりとカヌーに嵌まる五月かな
夏の湖すこし壊れてゐて直す
うろうろと螢袋を出て入る
ハンモック燐の十二が漂へり
石楠花や頂に立つ肺と肺

ときめきの短くバードウィークかな
葉桜と思ふ昨日の服のまま
あつちには泉の見えて犬必死
菖蒲田に着きし皆さま深呼吸
形から五月のやうに歩き出す

契約は卯波の頃や薄紙の
なべて半ズボン起業を勧められ
疲れてしまひ白き家白き薔薇
瓶届く薄暑の胸を閉づるとき
はつなつは二十四階よりのこと

夏の蚕五句

恋醒めの夏蚕をぱさと振り落とす
大勢が来て上蔟を始めけり
蚕の上蔟みな登らうとして廻る
上蔟の風吹く猫絵蛇絵かな
生繭は凍る短波の届く夜に

無題2(作:若洲至)

ここはやや古き空き地や暮の春
月蝕の日の山葵田のざわめける
埼玉に日陰少なき鳳蝶
上蔟とは知らず判子を持つて来ぬ
上蔟の壁の日めくりカレンダー

破れ傘あんな姿で帰すことに
夕虹が出てゐてボルボ欲しくなる
菖蒲湯に足が痺れたまま入る
エンヂンを冷まし傘雨の忌なりけり
新しき眼鏡で見たる四十雀

愛鳥週間や土鳩のアンダンテ
母の日のバターの銀紙を展く
山積みの葉野菜光る更衣
実桜や親の写真はざらついて
青髪にしたき卯の花腐しかな

直に当たる中央線の扇風機
映画館出ればまぶしや少し汗
黙りたいこともあるキャベツのやうに
黒い犬に黒い目のある夏の夕
聖五月ソファーをふつと捨てにけり

ご案内

これらの作品群への理解を深めるのに役立つ記事を、この記事が出てから1ヶ月の間に順次発表していきます。言葉の説明や鑑賞方法の一例は、順次公開しています。下記リンクからご覧ください。

各関連ページへのリンク

作品中の言葉の解説記事(noteで公開):2023/05/28公開!

月刊 俳句ゑひ 皐月号〈増刊号・言葉の解説〉|ゑひ[酔](俳句・短歌とそれにまつわる文筆ユニット)
ゑひ[酔]のホームページ及びnoteで発表した、月刊俳句ゑひ 皐月号の俳句の言葉解説記事です。各作品に分けて順に説明していきます。 月刊俳句ゑひ 皐月(5月)号はこちらから 『形から』(作:上原温泉)の言葉 嵌まる 読み方が難しいため取り上げています。ちなみにクロスワードが日本に入ってきた時、「嵌め字」と呼ば...

「形から」(作:上原温泉)の鑑賞記事:2023/06/09~公開!
前編

中編

後編

「無題2」(作:若洲至)の鑑賞記事:2023/06/19~公開!

ゑひの歳時記「上蔟」解説記事:2023/06/02公開!

ゑひの歳時記「愛鳥週間」解説記事:2023/06/09公開!

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