月刊 俳句ゑひ 水無月(6月)号

月刊俳句ゑひ
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 メンバーの20句作品を月イチで発表するコーナーです。解説など関連記事をnoteやゑひ[酔]ホームページで掲載していきます。


メンバー作品

携帯電話でも見やすいよう5句ずつに分けていますが、作品としては連続しています。

贈る(作:上原温泉)

十薬の庭に開かずの蓋があり
十薬を抜いて賃貸料上げて
十薬の要は業者のみ知ると
どくだみへ親のぐんぐん入り込む
どくだみを抜くどくだみが好きだつた

夏ぐにやりすつぽんの目は水の辺を
柵に折る上半身が滝の側
白靴へ寄る白靴を恥ぢながら
万緑の中に知人の混みあへる
大きな木くわくこう居ても居なくても

客ありてメロンスイカと繰り返す
分度器と定規ときどき目高減り
犬困る噴水ぱつと消えたれば
ハンカチに差が出る夏の月が出る
タッパーを持つて白夜を漕いで来ぬ

下りて行く店下りて行く水中花
丸椅子に小さき背もたれ水中花
部屋すこし傾いてをり水中花
せまくるしくて水中花ばらばらに
こんなにもひらく水中花や贈る

無題3(作:若洲至)

入梅の翳りに捨つる電池かな
紫陽花のほのと光れる半同棲
白シャツをすつぽり脱げばしづかなり
窓に薔薇映る信用金庫かな
砂町の人が買ひたる水中花

思つてゐたよりも父の日晴れてをり
ハンカチを取り出すまでに服濡れて
十薬の間に制帽を忘れ来し
バジル買ひ終はつてよりの白雨かな
人一人分の踏切雹降れる

含羞草起きむとするをまた眠らせ
バナナ買ふ節電要請の夕に
蚯蚓まだ乾かぬ腹のあたりかな
白靴のまま厚木まで来てしまふ
隣家にその人をらず青簾

憑いていく好きな渋谷の香水に
金曜の夜の太りゆくなめくぢり
小川のやうに茅の輪くぐりの列つづく
あつさりと夜店の消えて石の広場
迷ひなく歩く白夜のアンソニー


ご案内

これらの作品群への理解を深めるのに役立つ記事を、この記事が出てから1ヶ月の間に順次発表していきます。言葉の説明や鑑賞方法の一例は、順次公開しています。下記リンクからご覧ください。

各関連ページへのリンク

作品中の言葉の解説記事:2023/06/25公開!

「贈る」(作:上原温泉)の鑑賞記事:2023/07/14~公開!

「無題3」(作:若洲至)の鑑賞記事:2023/07/21~公開!

ゑひの歳時記「水中花」解説記事:2023/07/07公開!

ゑひの歳時記「十薬」解説記事:2023/07/14公開!

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